こんにちは、港北にっぱ動物病院です! 今回は犬の避妊手術についてお話したいと思います。
「うちの子は避妊手術いつ頃しようか・・・。」
「手術ってワードだけでなんとなく怖いな・・・。」
など、一度でも思われたことはありませんか?健康な体にメスを入れることに抵抗があるといった考えなどから避妊手術や去勢手術を行うか悩まれるお話を飼い主様からお聞きすることがあります。
避妊手術はすべき? メリット・デメリット
メリット
①将来的に起こりうる可能性のある生殖器疾患を予防する目的
・子宮蓄膿症:出産を経験していないシニア期での発症が多くみられます。子宮の細菌感染によってい子宮内に膿が溜まる病気です。 発症した場合亡くなる可能性もあります。
・乳腺腫瘍:発症年齢としてはシニア期に見られ、発症すると50%は悪性腫瘍(乳癌)と言われています。乳腺腫瘍の発症率としては発情前に手術を行うと0.5%、1回目の発情後の手術だと8%、2回目の発情後の手術では26%とだんだんと高くなってしまいます。早期に避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発症を抑えることは最大のメリットといえます。
②発情によって起こりうるストレス緩和
偽妊娠による乳腺の腫れや熱感、疼痛、ホルモンバランスの崩れに伴い食欲の低下や神経過敏などです。おもちゃなどを子犬と思い込んでしまい、触れようとすると唸ったり怒ったりすることもあります。
③日常生活へのストレス緩和
発情に伴い出血が見られたり、発情中だけ軟便になる、なんだか元気がなくなるといった子もいます。出血でわんちゃんの体やお家の中が汚れてしまうこともあります。
デメリット
①麻酔のリスク
健康体だとしても全身麻酔へのリスクは0%とは言えません。健康な子でも0.3%ほどの死亡リスクがあるといわれています。そのリスクを限りなく減らすためにもしっかりと術前検査を行い、事前準備をしたのち術中もしっかりモニター管理、術後もICU管理でケアをしていきます。
②肥満傾向
手術後、基礎代謝の低下(ホルモンバランスの変化)により太りやすくなります。また、食欲が増加傾向にあるため食欲に合わせて与えていると太ってしまいます。そのため術後の食事管理も大切になってきます。当院では避妊・去勢手術後に対応している療法食もご用意可能です。
③尿失禁傾向
卵巣から分泌される性ホルモンが膀胱の収縮に関与していると考えられています。そのため卵巣を摘出することで性ホルモンの分泌がなくなり膀胱収縮が緩くなるといわれていますが直接的な関係は証明されておらず、稀なケースです。
手術が決まるまで
まずは体の状態をチェック
術前検査 血液検査🩸:腎臓や肝臓など内臓機能に異常がないか
胸のレントゲン検査🩻:肺や心臓に異常がないか
これらの検査は全身麻酔をかける上でとても大切な検査となります。
手術日程の決定 :検査に異常がなければ飼い主様のご都合も踏まえ先生と一緒に決めていきます。もちろん検査で異常が見つかった場合は延期や精査へと進むことも。(※発情出血がみられたら、無理に手術は行わず出血終了して1か月後からの手術となります。)
当院では術前検査後、長期間空いてしまいますと検査結果と現状にズレが生じてしまう可能性があるため2週間以内のご予約をお願いしております。
手術当日
朝ご予約時間にご来院頂きお預かり :当日の体調を確認してからお預かりします。お預かり後は少しでも麻酔へのリスクを減らすためにも直ぐに血管を確保し点滴を開始します。
お昼休診時間に手術 :しっかりと手術時間を設けることでスムーズかつ安全に、先生・スタッフ一同手術に集中することができます。
翌日の退院 :避妊手術に関しては1泊入院をして全身状態や傷口の確認します。翌日飼い主様のご都合に合わせ前もって予約をした時間にご来院頂きます。
手術の流れ
麻酔 :全身麻酔をかける上で私たち「寝ている間に何があったの?」と動物たちに感じてもらうべく安定した麻酔を維持し、スムーズな覚醒を心がけています。小さな変化にも気づけるよう常に麻酔管理モニターと向き合いつつ今までの経験と五感を駆使し全身状態の把握・チェックを行います。
避妊手術 :稲垣先生が執刀し手術が始まります。ここで動物看護師Fは感動しました・・・なんと傷口が小さいんです!稲垣先生はわんちゃんの体に負担が少しでもかからないことを第一に考え最小限の傷口で避妊手術を行います。わんちゃんファースト素敵です!
術後 :傷口保護のため当院オリジナル作製の術後服を着ます。並行して酸素、温度管理を行いスムーズな麻酔からの覚醒を心がけます。意識がハッキリとし、体温の安定を確認したら入院室でお迎えを待ちます。その間も継続して点滴をします。下の写真は猫ちゃんですがこのようにお洋服を着ます。おしっこやうんちも着たままできます。


退院💐
退院後は1週間後に傷口の確認をします。そして下の写真は傷口確認で来院したわんちゃんの写真です。とてもキレイにくっついています!そして炎症もなく傷口も小さいです。うさぎさん同様抜糸はありません。わんちゃんの表情も明るいですね!


個体差こそありますが、ご飯もすぐに食べ始める子もいれば1~2日間ぐらい食欲が戻るまでかかる子もいます。そのためにも痛み止めの薬を処方したり、傷口の感染を防ぐために抗生剤を処方したりなどアフターケアも忘れません。ほとんどのわんちゃんは傷口確認までには食欲・元気が回復しています。
お家での生活は?
普段と変わらず過ごしてもらって問題ありませんが、体に負担になること(長距離の移動、お泊りなど)、激しい運動は避けるようにしましょう。お散歩も行ってもらっても問題ありませんが、傷口の保護のためにも雨の日や土道などは避け舗装された道を散歩しましょう。
費用はどのくらい?
体重によって多少の誤差が発生しますが、当院では10㎏までの犬ちゃんの避妊手術で5-6万円程度で行っています。この料金の中には手術費、1泊入院費、術後のお薬・術後服代も含まれます。
最後に・・・
当院では生後6か月齢から避妊手術が可能です。繁殖の意思がない場合は早めの避妊手術をお勧めいたします。気になることや少しでも悩んでいることなどありましたらお気軽にご相談下さい。