COLUMN

コラム

こんにちは、横浜市港北区新羽にある”港北にっぱ動物病院”です！

「ワクチンって本当に必要？」

「毎年打つ意味ってあるの？」
そんな疑問をお持ちの飼い主さまは多いのではないでしょうか。

実はワクチンは、大切な家族を重い感染症から守る“最も効果的な予防医療”。
特に子犬・子猫の時期は接種タイミングがとても重要で、世界的な指針（WSAVAガイドライン）でも細かく推奨が示されています。

今回は犬ちゃん、猫ちゃんのワクチンについてお話したいと思います。

なぜワクチンは必要？目的とメリット

● 個体を守る「個人免疫」

ワクチンを接種すると、身体の中に“免疫記憶”が作られます。
これにより、病原体が侵入した際に身体が素早く対応でき、
感染・発症・重症化のリスクが大幅に低下します。

● 地域全体を守る「集団免疫」

一定数の動物がワクチンで免疫を持つと、社会全体で感染が広がりにくくなります。
その結果、
・病気などでワクチンが打てない動物
・免疫力の弱い動物
も、感染症から守られるという大きなメリットがあります。

WSAVA（世界小動物獣医協会）は「すべての動物にワクチンを接種し、必要以上に頻繁に接種しない」
という基本概念を掲げています。

● 室内飼いでも必要？

答えは「YES」です。
以下のような場面でウイルスは家に入り込む可能性があります。

・飼い主さんの手や靴や衣類
・他の動物との接触
・トリミング、ペットホテル、通院
・ネズミ、野良猫など野生動物の侵入

室内飼い＝安全というわけではありません。

コアワクチンとノンコアワクチンとは？

ワクチンは大きく2種類に分類されます。

● コアワクチン（必須）

地域や生活環境に関係なく、全ての犬猫が接種すべきワクチンです。

動物	対象疾患（コアワクチン）
犬	犬ジステンパー・アデノウイルス・パルボウイルス
猫	猫パルボウイルス、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス

※日本では狂犬病予防法に基づき、犬は年１回の狂犬病ワクチンが義務とされています。

● ノンコアワクチン（環境により必要）

ペットの生活環境や地域性によって必要性が変わるワクチンです。

例)
・レプトスピラ
・ボルデテラ（ケンネルコフ）
・ネコ白血病ウイルス（FeLV）

生活スタイル（外出、旅行、多頭飼育など）を踏まえて、獣医師と相談して決めましょう。

最適なワクチン接種スケジュール

● 子犬・子猫に重要！「移行抗体」と接種タイミング

赤ちゃんの時期は、母親からもらった“移行抗体”が体を守っています。
しかし、この抗体はワクチンの効果を妨げてしまうこともあります。

移行抗体が弱まる時期は個体差が大きく、
確実な免疫獲得のためには複数回のワクチンが必要です。

子犬・子猫の推奨スケジュール（WSAVA準拠）

・初回：生後8〜9週
・2回目：初回から3〜4週間後
・最終：生後14-16週目以降に必ず実施（最終はとても重要！)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

成犬・成猫のスケジュール

• 最後のワクチン接種（３回目のワクチン接種）から１年後
  　幼少期のワクチンに反応しなかった個体のためにも、必ず必要です。
• その後のコアワクチンは感染リスクに応じで１－３年ごと
  　特別な事情がなければ ３年ごと が推奨されていますが、多頭飼いや猫ちゃんで野外に出る子に関しては感染リスクが高いので１年－２年毎の接種を勧めています。（基本的にはワクチンの抗体価が高ければ打つ必要はないので、事前にワクチン抗体価を調べてから接種することを決めるのもお勧めです）
• ノンコアワクチン
  　レプトスピラ、ボルデテラなどは 毎年接種が推奨されることがあります。

ワクチン以外に知っておきたい大事なポイント

● 妊娠中のワクチンは？

妊娠中の接種はリスクがあり、基本的には避けます。
交配前に計画を立てるか、出産後の接種が安全です。

● 「毎年ワクチン＝健康診断」という誤解

ワクチンの頻度が減る一方で、
半年に1回の健康チェックはとても重要です。

・歯科ケア
・栄養相談
・寄生虫予防
・シニア期の健康管理
など、総合的なケアを行うことで病気の早期発見につながります。

最後に・・・

ワクチンは“ペットの未来を守る”予防医療

✔ ワクチンは、命に関わる感染症から守るために不可欠
✔ 子犬・子猫は「生後14-16週以降の最終接種」が特に大事
✔ 成犬・成猫は1年後の追加接種後、感染リスクに応じて1-3年ごとが基本
✔ ノンコアワクチンは生活環境に合わせて個別化
✔ 半年に1回の健康診断を推奨

当院では、ワクチンアドバイザーを取得しておりペットの年齢・性格・生活環境に合わせて
最適なワクチンプログラムをご提案しています。

「うちの子にはどのワクチンが必要？」
「スケジュールがずれてしまったけど大丈夫？」
など、気になることがありましたらお気軽にご相談ください！