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COLUMN
コラム

2025.12.25
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身近なもので起こる犬・猫の誤食と消化管内異物閉塞

こんにちは、横浜市港北区新羽にある『港北にっぱ動物病院』です!

「あれ?遊んでいたおもちゃのパーツが足りない?」

「ビニールをかじった跡を発見!破片がないから少し飲み込んでしまっているかも・・・。」

犬や猫は好奇心が強く、思いがけずおもちゃや布、紐などを誤食してしまうことがあります。
その結果起こる可能性があるのが「消化管内異物閉塞」です。

「少し吐いているだけ」「食欲が落ちただけ」と軽く考えてしまうと症状が長引き、手術が必要になるケースも少なくありません。
今回は消化管内異物閉塞についてお話ししたいと思います。

消化管内異物閉塞とは?

消化管内異物閉塞とは、飲み込んだ異物が胃や腸に詰まり、食べ物や消化液の流れを妨げる状態です。              症状は急に出ることもあれば、軽い症状が長く続く(慢性化)こともあります。

🔎どんな症状がでるの?

  • 嘔吐・吐出を繰り返す
  • 食欲がない、食べない
  • 元気がなく、ぐったりしている
  • 体重が減ってきた
  • お腹を痛がる、触られるのを嫌がる
  • 下痢

🐾 何が原因?

原因の多くは、異物の誤飲です。よくある異物の例をいくつかあげてみました。

  • ボール・ゴム製のおもちゃ
  • 靴下・タオル・布切れ・マスク
  • 紐・ロープ・猫じゃらし
  • チャームなどの装飾品
  • 電源コード
  • 果物の種
  • 焼き鳥などの竹串
  • 針・釣り針  など
    手芸用ゴム紐
    ボールのおもちゃ
   赤ちゃん用靴下と銀杏

どの子にも起こりうることですが、子犬・子猫、好奇心が旺盛でいろんなものに興味がある子などは注意が必要です。

🧪どんな検査をするの?

当院では、血液検査・画像検査が組み合わされます。

血液検査

・血液生化学検査 (肝臓や腎臓、炎症など全身状態の確認)

・全血球検査 (貧血や脱水など全身状態の確認)

画像検査

・レントゲン検査 異物の有無や腸の状態を確認 (異物内容によってはレントゲンにうつらないこともあります)

・造影レントゲン検査 (異物の位置やうっ滞、閉塞を確認)

・超音波検査 胃腸運動の停滞は見られないか、腸の形に問題がないか、炎症がないか、腹水など溜まっていないかどうかを確認

必要に応じてより精密検査へ進むこともあります。

縫い針を誤飲してしまった犬ちゃんのレントゲン画像
左の画像をアップにすると糸を通す穴も見えます!

💊治療方法は?

異物を飲み込んでしまってからの経過時間異物の種類詰まっている場所症状の重さによって対応は異なります。

異物を飲み込んで間もない場合はまだ胃に留まっていることが多いので、催吐処置や内視鏡を使い摘出処置を行うことができますが、異物が尖っていたり、危険性があるものに関しては消化管穿孔の可能性があるので誤食してからすぐでも催吐処置をすることはできません。

また、胃から出てに流れてしまった物に関しては催吐処置や内視鏡は不適となります。
腸にながれた場合には、うんちとして出てくれれば良いのですが、消化管閉塞を起こしてしまった場合【外科手術】となります。 

上のレントゲン画像に写っていた針を摘出したところ糸もついていました💦
糸や紐は腸の中で絡まると腸を手繰り寄せてしまい血流が悪くなり重症化しやすいので注意が必要です。

治療の基本

  • 脱水・電解質異常の補正
  • 嘔吐のコントロール
  • 異物の除去

外科手術の種類

  • 腸管切開術:腸を切開して異物を取り出す
  • 小腸切除吻合術:腸が傷んでいる場合、傷んだ部分を切除してつなぐ手術

慢性異物閉塞でも、適切な手術により高い生存率(約94%)が報告されています。

〇の中の腸は強く炎症を起こしている状態。
    摘出した異物

当院では、消化管閉塞と診断し、腸管切開を行った場合術後1週間程度の入院管理を行い点滴や必要な処置・治療を行いつつ流動食を与えながら腸が正常に動いているかを確認します。食事に関しては体調面や腸の動きに問題がなければ徐々に食事をウェットフードに変更最終的には普段の食事に移行できるようしていきます。

🏠家でできる対処法は?

誤食・異物閉塞を予防するためにも生活環境を一度見直してみることが大切です!

⚠️日常生活で気をつけたいポイント

  • 噛みちぎれるおもちゃは与えない
  • 靴下・タオル・紐類を出しっぱなしにしない
  • 猫じゃらしは遊び終わったら片付ける
  • ゴミ箱はフタ付きにする
  • 「いつもと違う行動」がないか日頃から観察する

自宅で吐かせようとしたり、自己判断で様子を見るのは危険なため必ず病院へ受診しましょう!

🏥早期サイン・受診の目安

以下のような症状が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 嘔吐が1日に何度も続く
  • 食欲が戻らない
  • 元気がなく、動きたがらない
  • 異物を飲み込んだ可能性がある
  • 軽い症状でも数日以上続いている

「様子を見る」よりも、早めの診察が大切な命を守る近道です。

最後に・・・

消化管内異物閉塞は、犬や猫に多く見られる緊急性の高い病気です。症状が軽く見えても、放置すると慢性化や重症化することがあります。少しでも気になる症状があれば、迷わず動物病院へ受診しましょう!

動画もあるので是非見てみてください😸