COLUMN
コラム
2025.12.13
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見逃さないで!犬・猫に起こる膵炎について
こんにちは、横浜市港北区新羽にある『港北にっぱ動物病院』です!
「最近、食欲が落ちてきて元気がないのが心配・・・。」
「吐く回数が多くなっていてる。」
など思い当たることはありませんか? 膵炎は、気づくのが遅れると重症化することもある病気です。
飼い主さまにぜひ知っておいていただきたいポイントなどを今回はお話したいと思います!
🩺 膵炎とは?
膵炎は膵臓に炎症が起こる病気です。
膵臓は食べ物の消化を助ける 消化液 と、血糖を調整する ホルモン(インスリンなど) を作る大切な臓器です。
膵炎になると、消化酵素が膵臓内部で暴走し、膵臓自体を傷つけてしまいます。
- 急性膵炎:突然症状が出るタイプ
- 慢性膵炎:症状が軽く長く続くタイプ
犬は急性型が多く、猫は慢性型が多い傾向があります。
🐾 原因は?膵臓の働きも知っておこう
膵臓は消化液とホルモンを作り、食事の消化や血糖値のコントロールを行います。
犬の膵炎の原因
- 高脂肪食やおやつの与えすぎ
- 肥満
→ 急性膵炎になりやすく、症状もはっきり出ることが多い - 基礎疾患 (内分泌・代謝疾患など) →高脂血症(脂質異常)、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進)などがリスクとして報告されている
- 薬剤・外傷 →一部の薬の副作用などがありますが、因果関係が明確ではないケースが多い
- 遺伝的素因 →一部犬種で膵炎の発症頻度が高いことが報告され、遺伝的な素因が指摘されているが、明確な単一遺伝子原因は未確定
- 原因不明(特発性) →明確なきっかけが特定できないことが多い
猫の膵炎の原因
- 原因不明(特発性)が多い →明確なきっかけが特定できないことが多い
- 胆管炎や腸炎と同時に起きる「三臓器炎(トライアダイティス)」が多い
→ 慢性膵炎が多く、症状は軽く目立ちにくい
🔎 どんな症状が出る?
犬の症状
- 激しい嘔吐
- 急な食欲不振
- 腹痛で「お祈りのポーズ」をとる

猫の症状
- 食欲の低下
- 元気がない
- 体重減少
- 嘔吐は少ないことが多い
犬は症状が分かりやすく、猫は静かに進むため飼い主が気づきにくいことがあります。
🧪 どんな検査をするの?
膵炎の診断には 血液検査・画像検査・症状の観察 が組み合わされます。
血液検査
- 血液生化学検査(肝臓や腎臓、炎症など全身状態の確認)
- 犬(Spec cPL)
- 猫(Spec fPL) →(膵特異的リパーゼ)
画像検査
- 超音波検査:膵臓に異常がないか、炎症がないか、腹水など溜まっていないかどうかを確認
- レントゲン検査:膵臓以外にも腹部全体に異常がないか確認 →犬は比較的診断しやすく、猫は症状や検査を総合的に判断する必要があります。
💊 治療方法は?
膵炎は早期治療が重要です。
治療の基本
- 輸液療法:脱水や電解質異常の改善
- 鎮痛:痛みを和らげる
- 吐き気止めや抗炎症薬
- 栄養管理・食事療法
重症度によっては入院治療で集中的に治療すこともあります。
食事管理のポイント
- 犬:低脂肪食が基本

- 猫:食欲不振が続くと 脂肪肝(肝リピドーシス) の危険あり
→ 食べない場合はチューブ給餌を行うことも
⚠️ 早期サインは?受診の目安
犬のサイン🐶
- 激しい嘔吐
- 急な食欲不振
- 「お祈りのポーズ」
猫のサイン😸
- 食欲低下
- 元気がない
- 体重減少
- 嘔吐がなくても注意
最後に・・・
- 犬は急性膵炎が多く、症状がはっきり出る
- 猫は慢性膵炎が多く、症状や検査でも見つけにくい
- 診断には血液検査・超音波・症状の総合判断が必要
- 早期治療・食事管理で回復や再発予防が可能
- 体調の変化に気づいたら、すぐに受診することが家族の健康を守る鍵
膵炎は、食欲不振や元気消失など、日常でもよく見られる症状から始まることが多く、気づきにくい病気です。
小さな変化でも、膵炎の可能性があります。早めに動物病院へ受診しましょう!

