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COLUMN
コラム

2025.08.11

猫の去勢手術について

こんにちは、港北にっぱ動物病院です!
今回は猫の去勢手術についてお話ししたいと思います。


「うちの猫ちゃんはいつ頃去勢手術をしようかな・・・。」
「去勢手術をするのはかわいそう・・・。」


猫ちゃんを飼われている飼い主様なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか?そのお悩みに少しでも寄り添えられればと思います。

去勢手術はすべき?メリット・デメリット

*メリット*
①望まない子を増やさない
子供は望めなくなりますが、増やすことを防ぐことで多頭飼育崩壊などを回避し不幸な猫ちゃんを減らすことができます。また、安定した飼育環境を整えることが出います。

②発情に伴うストレス緩和
未去勢の場合発情しているメス猫ちゃんが近くにいることでフェロモンなどの匂いで(言い方変える)原因で食欲が落ちることや、行動に落ち着きがなくなり逃走行動に発展することもあります。外に出てしまうと交通事故に発展しかねません。

③日常生活でのストレスの緩和
発情中は縄張り行動が強くなり攻撃行動やスプレー行動(マーキング)が見られます。家族と猫ちゃんと双方でのストレスを抱えてしまうことも…。(※これらの行動に関には学習が関係すると考えられています。したがって一度学習しまうと性ホルモンの分泌がなくなっても行動を抑制することが難しくなります。)

④性ホルモンに関連した疾患の予防
精巣腫瘍:犬ちゃんより発生頻度は低いですが、稀に潜在精巣(片側もしは両側の精巣が降りず、鼠径部や腹腔内に留まっているケース)そのままにしておくと腫瘍化するリスクが高まります。

*デメリット*
①麻酔へのリスク
犬の避妊手術同様に、健康体だとしても全身麻酔へのリスクは0%とは言えません。健康な子でも0.3%ほどの死亡リスクがあるといわれています。そのリスクを限りなく減らすためにもしっかりと術前検査を行い、事前準備をしたのち術中もしっかりモニター管理、術後もICU管理でケアをしていきます。

②肥満傾向
手術後、基礎代謝の低下(ホルモンバランスの変化)により太りやすくなります。また、食欲が増加傾向にあるため食欲に合わせて与えていると太ってしまいます。猫ちゃんの運動でのダイエットは犬ちゃんより難しいのでそのため術後の食事管理も大切になってきます。当院では避妊・去勢手術後に対応している療法食もご用意可能です。

手術が決まるまで

雄猫ちゃんは6か月齢くらいで性成熟し、スプレー行動などの発情行動がみられるようになります。一度行動を覚えてしまうと去勢手術をしても行動が完全にはなくなりません。そのため当院では6か月齢からの去勢手術をお受けしています。

まずは体の状態をチェック

術前検査 血液検査🩸:腎臓や肝臓など内臓機能に異常がないか
胸のレントゲン検査🩻:肺や心臓に異常がないか
触診:精巣がしっかりと降りてきているか 稀に1つしか精巣が下りてきていない子もいますが手術自体は問題なく行えます。
(片側しか精巣がなく腹腔内にある場合は開腹手術となります。)

犬の避妊手術同様にこれらの検査は全身麻酔をかける上でとても大切な検査となります。

手術日程の決定
検査に異常がなければ飼い主様のご都合も踏まえ先生と一緒に決めていきます。もちろん検査で異常が見つかった場合は延期や精査へと進むことも。
当院では術前検査後、長期間空いてしまいますと検査結果と現状にズレが生じてしまう可能性があるため2週間以内のご予約をお願いしております。

当日の流れ

朝ご予約時間にご来院頂きお預かり :当日の体調を確認してからお預かりします。猫ちゃんは環境の変化にとても敏感です。そのためお預かり後は極力ストレスをかけないために手術前まで入院室で過ごしてもらいます。

お昼休診時間に手術 :しっかりと手術時間を設けることでスムーズかつ安全に、先生・スタッフ一同手術に集中することができます。

当日退院 :1泊入院の避妊手術とは違い、去勢手術に関しては当日帰宅となります。避妊手術はお腹を開けますが、去勢手術はお腹を開けないため体にかかる負担がとても少なく済みます。
前もってご予約をしていただいた時間にご来院頂きます。

手術の流れ

麻酔 :犬の避妊手術同様に全身麻酔をかける上で私たちは安定した麻酔を維持し、スムーズな覚醒を心がけています。小さな変化にも気づけるよう常に麻酔管理モニターと向き合いつつ今までの経験と五感を駆使し全身状態の把握・チェックを行います。体格にもよりますが、猫ちゃんの去勢手術自体は短時間で終わるため体にかかる麻酔の負担は少なく済みます。

去勢手術 :稲垣先生が執刀し手術が始まります。摘出した精巣はこちら(白黒加工済み)

避妊手術に引き続き動物看護師Fは感動でした・・・傷口が小さく、傷口が目立たない!稲垣先生は猫ちゃんの体に負担が少しでもかからないことを第一に考え最小限の傷口で去勢手術を行います。犬ちゃんももちろん、猫ちゃんファーストです!(要は動物ファーストですね!)

        手術前
       手術後

術後 :酸素、温度管理を行いスムーズな麻酔からの覚醒を心がけます。意識がハッキリとし、体温の安定を確認したらエリザベスカラーを装着します。(手術部位が排泄部分と隣接しており術後服での保護が難しいため)その後は入院室でお迎えを待ちます。(エリカラの写真)

退院💐

退院後は1週間後に傷口の確認をします。そして下の写真は傷口確認で来院した猫ちゃんの写真です。とてもキレイにくっついています!そしてすでに毛刈りした部分も毛が生えてきていますね。炎症もなく傷口も小さいです。うさぎさん同様抜糸はありません。「やっとエリザベスカラーから解放だニャッ!」とでも言っていそうな表情ですね✨

      術後1週間

個体差こそありますが、犬ちゃん同様にご飯もすぐに食べ始める子もいれば1~2日間ぐらい食欲が戻るまでかかる子もいます。そのためにも痛み止めの薬を処方したり、傷口の感染を防ぐために抗生剤を処方したりなどアフターケアも忘れません。ほとんどの猫ちゃんは傷口確認までには食欲・元気が回復しています。

お家での生活は?

基本普段通りの生活で問題ありませんが激しい運動などはなるべく控えるようにしましょう。
1週間はカラーを装着したままの生活になるためはじめは慣れなくて動かなかったり、逆にぶつかったり(エリカラアタックと動物看護師Fは呼んでいます 笑)、ご飯が食べづらそうだったりと見受けられるかもしれません。その時は食器に高さを付けることでエリザベスカラーの中に食器が入り食べやすくなります。

次第にカラー生活にも慣れてきます。よほど慣れない場合は病院へご相談ください。

費用はどのくらい?

体重によって多少の誤差が発生しますが当院では猫ちゃんの去勢手術は2-3万円程度で行っています。この料金の中には手術費、術後のお薬・エリザベスカラー代も含まれます。

最後に・・・

当院では生後6か月齢から去勢手術が可能です。繁殖の意思がない場合は早めの去勢手術をお勧めいたします。当院ではのら猫ちゃんの去勢手術も行っております。気になることや少しでも悩んでいることなどありましたらお気軽にご相談下さい