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COLUMN
コラム

2025.11.05

犬の去勢手術について

こんにちは、港北にっぱ動物病院です!

「うちの犬ちゃんはいつ頃去勢手術をしようかな・・・。」
「去勢手術って本当に必要なの?」

健康な体にメスを入れることに抵抗があるといった考えなどから避妊手術や去勢手術を行うか悩まれるお話を飼い主様からお聞きすることがあります。そのお悩みに少しでも寄り添えられればと思い、今回は犬の去勢手術についてお話ししたいと思います。

避妊手術のメリット・デメリット

メリット

①性ホルモンに関連した疾患の予防
前立腺肥大症
高齢期の未去勢の犬ちゃんに多く見られる病気です。前立腺は年齢とともに大きくなり、肥大が進むと血尿や排尿障害、後肢の跛行などの症状が見られます。
潜在精巣・精巣腫瘍
潜在精巣(片側もしは両側の精巣が降りず、鼠径部や腹腔内に留まっているケース)そのままにしておくと多くの確率で腫瘍化するリスクが高まります。腹腔内で腫瘍化した場合、腫瘍が大きくなるまで気づかないこともあります。
会陰ヘルニア
肛門周囲の筋肉が弱くなることで隙間ができ、腸管や脂肪などが出てきてしまう病気です。高齢期の雄で発症が多く見られます。
肛門腺周囲腺腫
肛門周りにできる腫瘍です。良性の事が多いですが中には悪性の【肛門周囲腺癌】もあるため注意が必要です。高齢期の雄犬に発症が多く見られます。

②発情によって起こるストレスの緩和
未去勢の場合発情しているメス犬ちゃんが近くにいることでフェロモンなどの匂いで原因で食欲が落ちることや、行動に落ち着きがなくなったり、興奮することで犬同士のケンカに発展することもあります。ケンカをすることで犬同士もしくは人もケガをしてしまう可能性があります。

③日常生活での問題行動の緩和
よく見られるのが【マーキング】【攻撃行動】【マウンティング】などの行動です。
雄の性ホルモンがこれらの行動を引き起こしやすくするとも言われています。
家族と犬ちゃんと双方でのストレスを抱えてしまうことも…。(※これらの行動に関には学習が関係すると考えられています。したがって一度学習しまうと性ホルモンの分泌がなくなっても行動を抑制することが難しくなります。)

デメリット

①麻酔へのリスク
犬の避妊手術同様に、健康体だとしても全身麻酔へのリスクは0%とは言えません。健康な子でも0.3%ほどの死亡リスクがあるといわれています。そのリスクを限りなく減らすためにもしっかりと術前検査を行い、事前準備をしたのち術中もしっかりモニター管理、術後もICU管理でケアをしていきます。

②肥満傾向
手術後、基礎代謝の低下(ホルモンバランスの変化)により太りやすくなります。また、食欲が増加傾向にあるため食欲に合わせて与えていると太ってしまいます。猫ちゃんの運動でのダイエットは犬ちゃんより難しいのでそのため術後の食事管理も大切になってきます。当院では避妊・去勢手術後に対応している療法食もご用意可能です。

手術が決まるまで

まずは体の状態をチェック
術前検査:血液検査:腎臓や肝臓など内臓機能に異常がないか
胸のレントゲン検査:肺や心臓に異常がないか
触診:精巣がしっかりと降りてきているか 稀に精巣が下りてきていない子もいますが手術自体は問題なく行えます。
(片側もしくは両側の精巣がない場合があり、鼠径部もしくは腹腔内にあることがあります。)

これらの検査は全身麻酔をかける上でとても大切な検査となります。

手術日程の決定

検査に異常がなければ飼い主様のご都合も踏まえ先生と一緒に決めていきます。もちろん検査で異常が見つかった場合は延期や精査へと進むことも。
当院では術前検査後、長期間空いてしまいますと検査結果と現状にズレが生じてしまう可能性があるため2週間以内のご予約をお願いしております。

当日の流れについて

朝ご予約時間にご来院頂きお預かり 
当日の体調を確認してからお預かりします。お預かり後は少しでも麻酔へのリスクを減らすためにも直ぐに血管を確保し点滴を開始します。

お昼休診時間に手術
しっかりと手術時間を設けることで手術の準備を整え、スムーズかつ安全に、先生・スタッフ一同手術に集中して手術を行います。

当日の退院
1泊入院の避妊手術とは違い、去勢手術は当日帰宅となります。避妊手術はお腹を開けますが、去勢手術は基本お腹は開けず精巣部分のみ切除するため体にかかる負担がとても少なく済みます。
前もってご予約をしていただいた時間にご来院頂きます。

手術の流れについて

麻酔
全身麻酔をかける上で私たちは安定した麻酔を維持し、スムーズな覚醒を心がけています。その子その子に合った麻酔を選択し、小さな変化にも気づけるよう常に麻酔管理モニターと向き合いつつ今までの経験と五感を駆使し全身状態の把握・チェックを常にを行います。

避妊手術
稲垣先生が執刀し手術が始まります。スムーズな手術進行で犬ちゃんの体に負担が少しでもかからないことを第一に考え最小限の傷口で去勢手術を行います。

術後
酸素、温度管理を行いスムーズな麻酔からの覚醒を心がけます。意識がハッキリとし、体温の安定を確認したら傷口をいじらないようエリザベスカラーを装着しその後は入院室でお迎えを待ちます。

退院

退院後は1週間後に傷口の確認をします。そして下の写真は去勢手術をした犬ちゃんの写真です。

とてもキレイにくっついています!そしてすでに毛刈りした部分も毛が生えてきていますね。炎症もなく手術する前と変わらなくなってきています。基本的には犬ちゃんの避妊手術同様抜糸はありませんが、その時の状態に合わせて縫合し抜糸が必要になることもあります。

個体差こそありますが、ご飯もすぐに食べ始める子もいれば1~2日間ぐらい食欲が戻るまでかかる子もいます。そのためにも痛み止めの薬を処方したり、傷口の感染を防ぐために抗生剤を処方したりなどアフターケアも忘れません。ほとんどの犬ちゃんは傷口確認までには食欲・元気が回復しています。

術後の生活について

普段と変わらず過ごしてもらって問題ありませんが、体に負担になること(長距離の移動、お泊りなど)、激しい運動は避けるようにしましょう。お散歩も行ってもらっても問題ありませんが、傷口の保護のためにも雨の日や土道などは避け、うんちおしっこをしたら戻ってくるというようなお散歩にしましょう。
カラーを付けているので食事の際に食べにくさが出てしまうのですが、食事やお水は食器に高さを出してあげるとカラーをしていてもカパッとはまって食べやすくなります。

1週間はエリザベスカラーを装着したままの生活になるためはじめは慣れなくて動かなかったりしますが、数日で慣れることが多いです。よほど慣れない場合は病院へご相談ください。

費用について

体重によって多少の誤差が発生しますが当院では犬ちゃんの去勢手術は4.5-5万円程度で行っています。この料金の中には手術費、術後のお薬・エリザベスカラー代も含まれます。

最後に・・・

当院では生後6か月齢から去勢手術が可能です。病気の予防のためにも早めの去勢手術をお勧めいたします。気になることや少しでも悩んでいることなどありましたらお気軽にご相談下さい。