COLUMN
コラム
猫の避妊手術について
こんにちは、港北にっぱ動物病院です!
「うちの猫ちゃんはいつ頃避妊手術をしようかな・・・。」
「避妊手術をするのはかわいそう・・・。」
一度は悩まれたことがあるのではないでしょうか?そのお悩みに少しでも寄り添えられればと思い、今回は猫の避妊手術についてお話ししたいと思います。
避妊手術のメリット・デメリット
メリット
①望まない子を増やさない
子供は望めなくなりますが、増やすことを防ぐことで多頭飼育崩壊などを回避し不幸な猫ちゃんを減らすことができます。また、安定した飼育環境を整えることが出います。
②性ホルモンに関連した疾患の予防
・乳腺腫瘍 猫の乳腺腫瘍の80-90%は悪性と言われおり、その中でも乳腺癌が80%以上と言われています。1歳までに避妊手術を行うことにより避妊手術をしない子に比べると約85%の発症の減少がみられています。生後6か月~1歳までに避妊手術を行うことで乳腺腫瘍の発症を抑えることが出来るのは最大のメリットといえます。
・子宮蓄膿症 子宮の細菌感染によってい子宮内に膿が溜まる病気です。 発症した場合敗血症やショックで亡くなる可能性もあります。
・子宮・卵巣腫瘍 子宮や卵巣にできる腫瘍は悪性がのもの多く、転移するものもあります。
②発情に伴うストレス緩和
未避妊の場合、近所にオス猫ちゃんが近くにいるとフェロモンなどの匂いが原因で食欲が落ちたりします。また、落ち着きがなくなったりすることがあるため逃走行動に発展することもあります。また、トイレ以外でも排尿が目立つようになります。
③日常生活でのストレスの緩和
発情が始まると激しく大きな声で鳴くようになり、日常生活での問題が生じる可能性があります。また、居住環境(集合住宅)などによってはトラブルになる可能性があります。
デメリット
①麻酔へのリスク
猫の去勢手術同様に、健康体だとしても全身麻酔へのリスクは0%とは言えません。健康な子でも0.3%ほどの死亡リスクがあるといわれています。そのリスクを限りなく減らすためにもしっかりと術前検査を行い、事前準備をしたのち術中もしっかりモニター管理、術後もICU管理でケアをしていきます。
②肥満傾向
手術後、基礎代謝の低下(ホルモンバランスの変化)により太りやすくなります。また、食欲が増加傾向にあるため食欲に合わせて与えていると太ってしまいます。猫ちゃんの運動でのダイエットは犬ちゃんより難しいのでそのため術後の食事管理も大切になってきます。当院では避妊・去勢手術後に対応している療法食もご用意可能です。
手術が決まるまで
まずは体の状態をチェック
術前検査:血液検査:腎臓や肝臓など内臓機能に異常がないか
胸のレントゲン検査:肺や心臓に異常がないか
触診:乳腺にしこりや腫れがないかなど確認します。(野良猫ちゃんの場合妊娠の可能性もあります。)
これらの検査は全身麻酔をかける上でとても大切な検査となります。
手術日程の決定
検査に異常がなければ飼い主様のご都合も踏まえ先生と一緒に決めていきます。もちろん検査で異常が見つかった場合は延期や精査へと進むことも。
当院では術前検査後、長期間空いてしまいますと検査結果と現状にズレが生じてしまう可能性があるため2週間以内のご予約をお願いしております。
当日の流れについて
朝ご予約時間にご来院頂きお預かり
当日の体調を確認してからお預かりします。猫ちゃんは環境の変化にとても敏感です。そのためお預かり後は極力ストレスをかけないために手術前まで入院室で過ごしてもらいます。お預かり後は点滴をして手術まで待ちます。
お昼休診時間に手術
しっかりと手術時間を設けることで手術の準備を整え、スムーズかつ安全に、先生・スタッフ一同手術に集中することができます。
翌日の退院
避妊手術に関しては1泊入院をして全身状態や傷口の確認します。翌日飼い主様のご都合に合わせ前もって予約をした時間にご来院頂きます。
手術の流れについて
麻酔
全身麻酔をかける上で私たちは安定した麻酔を維持し、スムーズな覚醒を心がけています。小さな変化にも気づけるよう常に麻酔管理モニターと向き合いつつ今までの経験と五感を駆使し全身状態の把握・チェック常にを行います。
避妊手術
稲垣先生が執刀し手術が始まります。いつ見ても稲垣先生の手術には感動です!私も猫ちゃんを迎えることがあれば稲垣先生に避妊手術をしていただきたいです。猫ちゃんの体に負担が少しでもかからないことを第一に考え最小限の傷口で避妊手術を行います。
術後
酸素、温度管理を行いスムーズな麻酔からの覚醒を心がけます。意識がハッキリとし、体温の安定を確認したら傷口をいじらないようお洋服を着てその後は入院室で1日過ごします。
退院💐
退院後は1週間後に傷口の確認をします。そして下の写真は避妊手術をした猫ちゃんの写真です。とてもキレイにくっついています!そしてすでに毛刈りした部分も毛が生えてきていますね。炎症もなく手術する前と変わらなくなってきています。うさぎさん同様抜糸はありません。

個体差こそありますが、犬ちゃん同様にご飯もすぐに食べ始める子もいれば1~2日間ぐらい食欲が戻るまでかかる子もいます。そのためにも痛み止めの薬を処方したり、傷口の感染を防ぐために抗生剤を処方したりなどアフターケアも忘れません。ほとんどの猫ちゃんは傷口確認までには食欲・元気が回復しています。
術後の生活について
基本普段通りの生活で問題ありませんが激しい運動などはなるべく控えるようにしましょう。
1週間はお洋服を着たままの生活になるためはじめは慣れなくて動かなかったりしますが、数日で慣れることが多いです。よほど慣れない場合は病院へご相談ください。
費用について
体重によって多少の誤差が発生しますが当院では猫ちゃんの避妊手術は4-4.5万円程度で行っています。この料金の中には手術費、術後のお薬・術後服代も含まれます。
最後に・・・
当院では生後6か月齢から避妊手術が可能です。病気の予防のためにも繁殖の意思がない場合は早めの避妊手術をお勧めいたします。当院ではのら猫ちゃんの避妊手術も行っております。気になることや少しでも悩んでいることなどありましたらお気軽にご相談下さい!