COLUMN
コラム
秋冬も必要! 犬・猫のノミ・マダニ・フィラリア予防について
こんにちは、港北にっぱ動物病院です!
8月も後半になりましたがまだまだ暑い日が続いていますね。
まだまだ散歩に行きずらいですがこれから徐々に陽も短くなり散歩も行きやすい季節になってきますね!
ここで今回は犬ちゃん、猫ちゃんのノミ・マダニ、フィラリアについてお話したいと思います。
ノミってなに?

ノミとは動物の体毛をかき分けて動きやすいような形に進化をとげた昆虫の1種です。
寄生して吸血開始後1-2日で産卵→幼虫→サナギ→成虫へと成長します。1日平均25個の卵を産み、生涯平均では160個の卵を産むそうです。驚きですね!かつ気温13℃があれば発育可能になります。冬場では一度ノミが家に入ってしまうと室内は常に暖かいため発育環境に適していると言われています。
マダニってなに?

マダニとは脚が8本生えているのでクモの仲間と言われています。その中でもマダニ類は特殊で他のダニと比べて体が大きいです。
卵→幼ダニ→若ダニ→成ダニと成長をします。(各過程て寄生→吸血→落下→脱皮を繰り返す)吸血期間はバラつきがありますが数日間にわたると言われています。基本的に空腹状態で草むらや落ち葉に身を潜めています。
フィラリアってなに?

フィラリアとは蚊によって媒介する内部寄生虫です。フィラリアに感染した動物から吸血をし蚊の体内で幼虫(ミクロフィラリア)が(L1-3)まで成長→感染していない犬ちゃん・猫ちゃんを吸血する時にフィラリア幼虫が侵入→数日で(L4)に成長→1か月ほどで(L5)に成長し血管内へ侵入し心臓や肺に寄生します。その後は幼虫(L1)が生まれるサイクルが完成します。
寄生されるとどんな症状が出るの?
現れる症状としては多岐にわたりますがいくつかご紹介します。
ーノミが引き起こす病気と症状 ー
・ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液中の成分がアレルゲンになり、激しい痒みや湿疹、脱毛などを発症し皮膚炎を起こします。
・瓜実条虫
ノミの中に寄生しており毛づくろいをして体内に侵入し、お腹の症状やお尻が痒くなったりします。
・貧血
大量に寄生していると吸血により貧血を起こす危険があります。
ーマダニが引き起こす病気と症状 ー
マダニが引き起こす病気と症状
・皮膚炎
刺された部位に発赤、腫脹など炎症を起こします。
・犬バベシア症
マダニの原虫が赤血球に寄生し破壊をしていきます。
貧血・食欲低下・発熱・黄疸などの症状が現れ、急性の場合亡くなることもあります。
かつては西日本で多く見られましたが今では関東以北でも発生しています。
・貧血
ノミに比べ血を吸う量が多く、寄生が大量であれば貧血を起こします。
ーフィラリアが引き起こす病気と症状 ー
無症状から始まり咳をする、運動を嫌がる、食欲低下、呼吸困難、腹部の膨らみなどの症状が見られます。重症化すると命に関わる危険性があります。
※猫ちゃんは無症状のこともありますが、時に突然死も。症状なく気づかないうちに感染していることが多いのが猫です。感染していた猫の約4割が室内飼育と言われています。
⚠️急性症状⚠️
大静脈症候群(ベナケバ・シンドローム)
食欲不振 呼吸困難 虚脱 蒼白 血色尿
寄生しているフィラリアの数が多いと、肺動脈や右心室から右心房や後大静脈に移動します。大静脈から心臓への血液流入が妨げられることで起こる急性の症状です。
人にもうつる!?怖い病気!
人獣共通感染症というワードをご存知でしょうか。なかなか効かないかと思われますが動物と共に暮らす中で知っておきたいとても大切なことの一つです。
人獣共通感染症(ズーノーシス)=動物と人との間でうつる病気のことを言います。
ここでノミ・マダニに関係するいくつかの病気をあげたいと思います。
ノミが引き起こす人獣共通感染症
・猫ひっかき病
マダニが引き起こす人獣共通感染症
・ライム病
・野兎病院
・日本紅斑熱
・Q熱(リケッチア)
・SFTS
・ダニ脳炎(ウイルス)
ここで最近話題のSFTSについてご紹介したいと思います。
SFTSとは?
SFTS=severe fever with thrombocytopenia syndrome 重症熱性血小板減少症候群のこと
SFTSウイルスに感染したマダニが人や動物に寄生し吸血することで感染が成立します。
症状:発熱、消化器症状(嘔気・嘔吐・腹痛・下痢・下血)が主な症状とし、時に頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節主張、出血種症状が伴う
血液検査にて血小板の減少、白血球の減少などが見られる
2025年になって亡くなられている方がおりニュースで取り上げられていました。それほどかかると怖い病気です。発生月も5−9月頃が多く、これはマダニが活発になる時期と一致していると考えられます。しかし真冬でも発生が見られるため、寒くても油断は禁物です。
怖い病気にかからないためにも予防が大切になってきます。
予防期間はどのくらい?
ついつい寒い時期になると予防に関して気が緩む傾向が見られます。
一番のお勧めは1年を通しての予防になります。
近年温暖化により寒い時期も気温が高くなりつつあり、そのため蚊やノミ寒い時期でも感染のリスクが高くなっています。
マダニに関しても住まわれている地域環境やお散歩でよく草むらなどに入る犬ちゃんは感染のリスクが高まります。
マダニは普段草の裏などに潜んでいて近づく動物たちに寄生します。
「うちの子は草むらには行かない」
「草木の多いキャンプや山にお出かけしない」
「高齢だしあまり外に散歩に行かない」
などのお声を頂くこともありますが、普通の公園の草むらでも感染したという例もあります。
ここで当院でのお勧めの予防期間は・・・

※〇:しっかりと予防する期間、◌:できれば予防したい期間※
フィラリア症予防薬は幼虫L4からL5に成長する過程で駆虫効果が発揮されます。
成長するまで1ヶ月ほどかかるため蚊がいなくなった1ヶ月後まで予防することが大切です!
どんなタイプの駆虫薬があるの?
液状タイプ:毎月一回皮膚に滴下する予防薬
チュアブルタイプ:毎月一回おやつタイプの予防薬
錠剤タイプ:毎月一回錠剤を飲ませる予防薬
※製品によっては数か月効果が持続するものもあります※
<フィラリア予防薬>
注射タイプ:年に一度接種することで1年間通年予防
ノミ・マダニ・フィラリア予防薬の費用は、体重や種類、使用間隔によって異なります。
今では駆虫薬もいろんな製薬会社さんより製品が出ています。
ノミ・マダニ駆虫薬、フィラリア予防薬で分かれているタイプから、すべて一緒になっている<オールインワンタイプ>も登場しています。 飼い主様のライフスタイルに合うよう当院では色々なタイプのお薬をご用意しています。取り寄せ等も可能ですので気軽にご相談ください。
最後に・・・
ノミ・マダニは環境状況によっては一年中生息してます。蚊も活動期間も年々伸びてきています。
これらの寄生虫をしっかりと予防をして犬ちゃん・猫ちゃんの健康を守っていきましょう!